本書は、帝都(東京)が経験した2度の大災害、すなわち関東大震災直前から東京大空襲まで、およそ四半世紀の歩みがたどれる貴重な資料です。図ごとに地域の専門家による読図の指針となる解説が付き、その時代のその場所に対応する写真は別冊も含め多数掲載。地図に記載されている文字情報は、全て「分類索引」に整理され、調べやすく分りやすいのも特長。本書は東京の来し方行く末を探る、大変貴重な歴史資料です。
・各図に現代地図、解説、注記分類索引を添え、一部に参考写真付き
・井口悦男編 総解説:清水靖夫/井口悦男/本田豊
※縮尺:1:3,000 サイズ:菊四裁判(天地46×左右30.6cm) 全6巻(地図2折・製本・函入)
※地図351葉 発行限定200部
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限定200部 全6集セット(第1集~第6集) ¥388,800(税込)
分売も承ります。¥75,600(税込)
《頁組体制見本》:新旧2図の対照で、位置確認が容易。平坦な現代地図の上に、土地の凸凹をイメージできます。(クリックすると大きな画像が開きます)
大正期の一里塚付近
釣堀がある、簡易食堂がある、特殊重工業会社や化学工場がある、河岸や掘割がある、小川がある、音無橋や太鼓橋など小さな橋も名前がある、渡船の船付場がある、路面電車の線路と停留所がある、車庫がある、あちこちに原っぱがある、巨大な兵器廠など旧軍施設がそこここにある、笹原がある、田圃もある、畑もある、久米邸や前田邸や平沼邸など邸宅があちこちにある、なくなってしまった小学校がある、高等女学校がある、地蔵堂がある、養豚所がある、同潤会仮住宅がある・・・土地の履歴と地形の素顔がここにある。
《おもな図解説執筆者》
《本書を推薦します》 鈴木博之(東京大学大学院教授)
[物語の宝庫]
3000分の1の「帝都地形図」と題された地図を眺めて、驚き入ってしまった。歩いたことのある辺りの地図を見ると、地図だから当然であるが、道路が描かれ、神社仏閣、主要な工場、邸宅などが細かく記入されている。地図のなかの文字情報は計り知れない価値があるので、思わず見入ってしまう。ここに三井別邸があったのか、ここは同潤会の戸建て住宅地だったのか、こんなところに牧場があったのか、この山本邸というのは誰の邸宅なのか・・・・・・・。驚くことばかりである。ここには高度経済成長で失われた東京のすがたが留められている。むくむくと好奇心が沸き上がってくる。 等高線も入っているので、微地形も把握できる。まるでタイムスリップしながら町のなかを歩いているような気持ちになる。消えてしまった川も発見できる。急に物知りになった気分も漂う。この地図を眺めはじめると、ふらふらふらふらとどこまでも地図の上を歩きつづけたくなってしまう。
こんなに楽しい地図はない。ここからさまざまな物語、さまざまな史実、さまざまな理論、さまざまな未来像が描けるにちがいない。楽しみである。ひとつだけ気づいたことを書いておくと、今の埼京線、かつては赤羽線と呼ばれていた線路が、この地図では山手線と記入されている。こうした時代もあったということなのか。これもまたこの地図からの収穫である。